FreeNAS9.2がリリースされたので、HDDが5台搭載可能なHP ProLiant MicroServer N54Lを利用してファイルサーバを構築します。他のハードウェアでも手順は同じです。
今回は、2014年2月にSeagateとWesternDigitalから発売されるであろう5TBのHDDを搭載する前準備として、売り切れないうちに確保したHP ProLiant MicroServer N54Lを使ってFreeNASの環境を構築しておく。N54Lは4TBのHDDの動作報告が上がっているので、2TBの壁に引っかかる事は無いと判断し、見切り発車です。
なお、ファイルサーバの容量が一杯になったら、同型のサーバとHDD5,6台を追加してもう一台ファイルサーバを組みます。
昔はSupermicroの3.5inchベイが12個入るようなケースとArecaや3wareのRAIDカードでファイルサーバを構築していましたが、音もうるさいし、30万以上かかるし、ファイルサーバの移行は大変だしで、おなか一杯なので、今後はこのパターンで行こうかと。あまり使わなくなったファイルサーバは電源を落しておいて使うときにWakeOnLANで起動させれば電力も気になりません。
事前準備するハードウェア
事前準備するハードウェアは下記の通り。
- HP ProLiant MicroServer N54L
- USBメモリ(4G以上であれば問題ないはずです) 500~600円
- DVD-RW(MicroServer等のDVDが無いサーバの場合にはUSB接続の物を事前用意する) 3000円程度
- 3.5inch HDD(MicroServer購入時にはデフォルトで250G or 500Gが付属している。WD 6TB Hitachi 4TB Seagate 8TB ) 5台で7万以下
- 5inch>3.5inch変換金具(HDDを5台載せる場合のみHDDマウンタ) 500~3000円
HP ProLiant MicroServer N54Lの構成
今回ファイルサーバ用に選んだ基盤です。2万円以下で買えるわりに、3.5inch HDDベイ×4、5inch ベイ×1があるので、5inch>3.5inch変換金具をかませれば、3.5inch HDDを5台搭載できます。
HDDベイを抜き出したところ。
USBメモリをさしたところ。4G以上のUSBメモリであれば大丈夫でしょう。当サイトでも4GのUSBメモリを利用しています。
HDDを取り出したところ
HDDの裏側。単純にSATAと電源ケーブルが直付けされているだけ。つまりホットスワップではありません。ただ、FreeNASでの運用はHDDの交換時には電源を落して行うのが普通なので、ホットスワップではない事は全く問題になりません。
HP ProLiant MicroServer N54LのBIOS設定
BIOSの設定をしてUSBメモリからブートするようにしておきます。序に他の設定も最適化しておきます。
ブートデバイスをUSBメモリからに変更します。HDDを交換した後等にはブート順序が変わってしまい、ブートに失敗する事があります。その場合にはここを見直してください。
WakeOnLanを有効にしておきます。FreeNASをただのファイル置き場として利用する場合にはリモートから電源を入れられると便利なので、有効にしておきます。
HDDの書き込みキャッシュを有効にします。デフォルトは無効なので、その場合には速度が遅く感じるはずです。ただし、不意の停電時に書き込み中のデータを失う可能性があります。
(UPSを導入していればあまり問題ないはずですが)
ファイルサーバとして利用する際にVGAメモリは必要ありません。VGAメモリを128Mから32Mにします。
最後に、保存して終了します。
もちろんOKで。
FreeNAS9.2の新規インストール
FreeNASのオフィシャルサイトよりISOをダウンロードし、DVD-Rに焼き付けて、そのメディアから起動します。USB接続のDVD-ROM(もしくはDVD-RW)を事前に購入しておくといいかもしれません。
1のインストールを選択。
インストール先はUSBメモリを選ぶ。
データがあった場合に削除されると警告されている。YESで。
インストールが終わったらDVDを除去してOK。
3の再起動を選択
LAN内でDHCPによるアドレスが配られていれば、アクセス先のIPが出てくるはず。出てこない場合には、1番でネットワークの設定を行う。
ブラウザでアクセスする。この場合は、http://172.20.1.136
初回アクセス時にパスワードを聞かれてくるので、freenasとでもパスワードを設定する。次回ログイン時からはユーザー名admin/パスワードfreenasでログインする。
ログイン直後。英語ロケールなので日本語化する。
settings > generalを選んで、赤枠内の変更を行ってsaveを押す。再度ログインし直すと日本語化されていることが確認できるはず。
ファイルサーバをDHCPで運用するわけにはいかないので、上記画面のように、インターフェースの追加から、固定IPを設定する。
IPアドレスが設定されている事を確認する。
ネットワークの追加設定をします。ホスト名、ドメイン名(宅内ネットワークの場合には、ドメイン名は無いと思うので、適当でOKです)、デフォルトゲートウェイ、ネームサーバの設定をします。
ス トレージからZFSのディスクを追加します。今回は1台のみの追加ですが、赤枠で『1-20.0GB・・・』となっている個所に、候補のドライブがすべて 表示され、その下の『Stripe』となっている個所にRAIDレベルが表示されるので、お好みで設定します。ファイルサーバ用途ですと、raidz(所 謂raid5)がメジャーでしょうか。
上記で、『Add Volume』を選択すると、プログレスバーが表示されるので、完了するまで待ちます。
ZFSのボリュームが出来たら、下記のようになるので、下図の赤枠のZFSデータセットの作成ボタンを押します。
ZFSデータセットの作成画面では、データセット名(識別しやすい名前、例えばfileserverや、dataset_01等)を指定して、圧縮レベル、ZFS Deduplicationは継承のままデータセットを追加します。
データセットを作成すると、下記のように指定した名前でデータセットが出来るので、このボリュームをsambaでwindowsファイル共有するデータセットにします。
上記までの設定のままだと、zfs1のボリュームに対して、読み込み属性しかないので、パーミッションの変更で、モードの全部のチェックボックスをONにしておきます。
※ 必要に応じて、全部の設定が終わって、使えることが確認できた後に、ユーザーやグループを変更して、セキュリティ設定を行ってください。ここでは、まず動 作確認をすることを最優先としますので、ゲストユーザーでアクセス可能なように、誰でも読み書きできるようにしています。
Windowsのファイル共有の設定をします。ここでは、『smb_share』としています。
名前と、パスの設定は下記のように。
その他の属性としては、パーミッションの継承と、ゲストアクセスを許可をONに設定します。
次に、CIFS(SAMBA)のサービスの制御をします。サービスの制御画面のON/OFF設定は見たままですね。スパナマークの設定から、ファイル共有サービス全体の設定を行います。
CIFSの設定画面では、認証方式にAnonymous、NetBIOS名にfreenas(ただのWindowsのファイル共有サービスのサーバ名です)と設定しています。
CIFSサービスがONになっていない場合には、ONにします。
Windowsのアドレスバーに『\FreeNASのIPアドレス』として、アクセスします。