PT3の入手性が極端に悪くなったため、PLEX社製TVチューナーでLinux録画環境を構築する方法です。PX-Q1UD、PX-S1UD共に同じ方法で構築出来ると思います。BS/CSが不要であればPX-Q1UDが手ごろな価格で4CH対応なので良いかと思います。
【事前準備】環境の組み合わせについて
①サーバ、②チューナー、③カードリーダが必要です。
①サーバ
サーバ | 費用 | コメント |
Raspberry Pi4 | 7,000~10,000円 | ハードウェアエンコード可能なため、コスパ最強です。裸のまま構築すると、静電気やショート等で壊れる可能性が高まるので、ケースも併せて購入する事を強くお勧めします。 |
自作サーバ | 3万円前後 | Intel系の4コアCPUがお勧めです。TDP65Wでも、実測値はRyzenよりもIntel系の方が低い点と、Intel製チップセットを利用するM/Bは安定性で期待できるためです。 |
ノートPC | 4万円前後 | 余っているノートPCを再利用してもいいと思います。バッテリーが生きていればUPS付きのサーバですね。 |
②チューナー
利用可能なチューナーは以下の通りで、分類が1種類に分かれます。mirakurunはdocker上に構築する前提で特徴を記します。
分類 | 特徴 |
① | mirakurunのセットアップ中で面倒を見てもらえる為、セットアップが楽。 |
② | ドライバを導入し、recpt1等をコンパイルし、Dockerから参照可能な場所に配備。 あわせて、Dockerから該当デバイスを見れるようにする必要あり。 |
mirakurunで利用可能なチューナーは下表のとおり。PT3を元々持っている方はPT3を使うのが楽です。BS/CSが必要なければ分類①に該当するPX-Q1UD、PX-S1UDが最有力候補。
Raspberry pi等の小型PCで利用する場合には、外付けタイプ(内外で内と記載)を選択。既存のサーバ機やデスクトップPCを利用する場合には内蔵タイプ(内外で外と記載)を選択すればいいと思います。
メーカー | 製品 | 分類 | 内外 | 地デジ | BS/CS | 金額 | 評価 | コメント |
アースソフト | PT3 | ① | 内 | 2ch | 2ch | 3万前後 | △ | 一押しだが、既に入手困難 |
PLEX | PX-Q1UD | ① | 外 | 4ch | – | 1万2千円 | 〇 | セットアップが楽 |
PLEX | PX-S1UD | ① | 外 | 1ch | – | 5,000 | 〇 | セットアップが楽 |
PLEX | PX-W3U4 | ② | 外 | 2ch | 2ch | 在庫少ない? | △ | 良い意味で枯れてます。recpt1経由で利用 |
PLEX | PX-Q3U4 | ② | 外 | 4ch | 4ch | 22,000 | △ | 同上 |
PLEX | PX-W3PE4 | ② | 内 | 2ch | 2ch | 13,800 | △ | 同上 |
PLEX | PX-Q3PE4 | ② | 内 | 4ch | 4ch | 21,000 | △ | 同上 |
PLEX | PX-W3PE5 | ② | 内 | 2ch | 2ch | 16,000 | △ | 同上 |
PLEX | PX-MLT5PE | ② | 内 | 5ch | 地デジ兼用 | 16,000 | ? | 地デジ、BS/CS合計5ch。recpt1経由で利用 |
PLEX | PX-MLT8PE | ② | 内 | 8ch | 地デジ兼用 | 27,000 | ? | 地デジ、BS/CS合計8ch。recpt1経由で利用 |
③カードリーダー
安定して利用製で既製品であればOKです。「SCR3310」が実績があり苦労しないと思います。
mirakurunのインストール
mirakurunはDockerを利用する方法と、Dockerを利用しない方法(node.jsでPC上で動かす)があります。開発環境もDocker上に移行しているとのことですので、dockerを利用する方法でセットアップします。
※Dockerを利用した方が簡単です。
Dockerのインストール
sudo curl -sSL https://get.docker.com/ | CHANNEL=stable sh
sudo curl -L "https://github.com/docker/compose/releases/download/1.28.5/docker-compose-$(uname -s)-$(uname -m)" -o /usr/local/bin/docker-compose
sudo chmod +x /usr/local/bin/docker-compose
sudo ln -s /usr/local/bin/docker-compose /usr/bin/docker-compose
sudo usermod -aG docker ${USER}
sudo systemctl enable --now docker
mirakurunのインストール
mkdir ~/mirakurun/
cd ~/mirakurun/
wget https://raw.githubusercontent.com/Chinachu/Mirakurun/master/docker/docker-compose.yml
チャンネルスキャンを行う
以下コマンド実行後、10分~20分程度かかると思います。
curl -X PUT "http://localhost:40772/api/config/channels/scan"
ここまででmirakurun側のセットアップ完了です。mirakurunの管理画面は以下です。チャンネルスキャンまで実行すれば、特段やることはありませんが、管理画面に入って、チューナーの登録状況や、ログを確認しておくと良いかもしれません。
https://<インストール対象サーバIP>:40772/
epgstationのインストール
mirakurunはチューナーデバイスの管理ソフトウェアなので、予約録画をするためには、GUI画面が必要ですので、epgstationをインストールします。
sudo apt install nodejs ffmpeg python gcc npm
# バージョンチェック
node --version
curl -o - http://localhost:40772/api/version
ffmpeg -version
python --version
gcc --version
cd ~/
git clone https://github.com/l3tnun/EPGStation.git
cd EPGStation
npm run all-install
npm run build
cp config/config.sample.yml config/config.yml
cp config/operatorLogConfig.sample.yml config/operatorLogConfig.yml
cp config/epgUpdaterLogConfig.sample.yml config/epgUpdaterLogConfig.yml
cp config/serviceLogConfig.sample.yml config/serviceLogConfig.yml
cd ~/EPGStation
sudo npm install pm2 -g
sudo pm2 startup ubuntu -u ${USER}
pm2 start dist/index.js --name "epgstation"
pm2 save
# pm2をスタートする際の.pm2ディレクトリをユーザーのディレクトリにする
sudo sed -i "s/^Environment=PM2_HOME=.*/Environment=PM2_HOME=\/home\/${USER}\/.pm2/g" /etc/systemd/system/pm2-${USER}.service
sudo sed -i "s/^PIDFile=.*/PIDFile=\/home\/${USER}\/.pm2\/pm2.pid/g" /etc/systemd/system/pm2-${USER}.service
epgstationの管理画面は以下です。
http://<インストール対象サーバIP>:8888/
セットアップ後の動作確認
サーバの場合、再起動した後に必要な全てのプロセスが立ち上がる必要があります。よって、再起動後に必要なプロセスが起動していることを確認します。
sudo reboot
mirakurunの動作確認
docker ps -a
# 以下のように、mirakurunが表示され、STATUSがUpとなっていること
CONTAINER ID IMAGE COMMAND CREATED STATUS PORTS NAMES
f0ce038fd119 chinachu/mirakurun:latest "docker-entrypoint.s…" 4 days ago Up 8 hours 0.0.0.0:9229->9229/tcp, 0.0.0.0:40772->40772/tcp mirakurun_mirakurun
epgstationの動作確認
以下のようにpm2 listコマンドを実行し、epgstationのstatusがonlineになっていることを確認する。
pm2 list

管理画面へのアクセスしての動作確認
製品名 | アクセス先 | 確認ポイント |
mirakurun | https://<インストール対象サーバIP>:40772/ | ・ログ ・チューナー登録状況 |
epgstation | http://<インストール対象サーバIP>:8888/ | ・番組表が見えているか ・予約録画出来るか ・チューナー数分録画出来るか ・キーワード予約録画出来るか |
以上で、mirakurunとepgstationによる環境構築完了です。今回、mirakurunはDocker上に構築しているため、‘Dockerの操作方法も記載しておきます。
【おまけ】Docker操作方法
mirakurunのセットアップ中に、Docker周りのトラブルシューティングや操作をする必要があるかもしれません。その際に利用するであろうコマンドを以下に記載します。
目的 | コマンド | 備考 |
Dockerプロセス一覧表示 | docker ps -a | コンテナ名はこのコマンドで取得 |
Dockerイメージ一覧表示 | docker images | |
Dockerプロセス上にログイン | docker exec -it <コンテナ名> bash | 仮想マシンの場合、仮想マシンにSSHログインするイメージです。 |
ファイルコピー(ホスト⇒コンテナ) | docker cp <コピー元> <コンテナ名>:<コピー先> | |
ファイルコピー(コンテナ⇒ホスト) | docker cp <コンテナ名>:<コピー元> <コピー先> | |
起動 | docker start <コンテナ名> | |
停止 | docker stop <コンテナ名> |
【おまけ】電波調整方法
良く勘違いされているので書いておきます。TV信号は適正値があり、チューナーに入力する信号が高すぎる場合にはアッテネータを利用して減衰させます。-6dbや、-10db等ありますが、TV前で10db以上も減衰させるようなケースはあまりないはずで、せいぜい2~6dbのアッテネータかと思います。また、分配する事でも減衰する為、分配器をつけても減衰させることが出来ます。反対にチューナーに入力する信号が低い場合にはブースターで増幅します。ブースターの設置場所はPCの直前だとレベルが上がりすぎる為、一般的にはアンテナ直下(屋根裏やアンテナ近くにBOX設置、風呂場の天井裏等)に設置します。ブースターの場合、電源分離型を購入すると便利です。
参考ページ
以下サイトを参考にさせていただきました。ありがとうございました。また、作者の方々には便利なソフトウェアを作成して頂いたことに深くお礼申し上げます。